山梨県富士吉田市?山中湖村?都留市でゼミ合宿を行いました。
松澤ゼミでは3月11日から12日にかけて、山梨県富士吉田市、山中湖村、都留市で地域交通と観光をテーマとしたゼミ合宿を行いました。新型コロナ下での移動制限が世界的に緩和され、日本でも「インバウンド」の観光客が回復しています。一方で地方の地域の交通機関は人口減少による存廃問題が浮上する半面、特定の観光地ではオーバーツーリズムのため地元客の利用に困難をきたしている地域もあり、矛盾した状況が表れています。この問題を考えるため、まず富士吉田市を訪れました。
【富士山、桜、「五重塔」が一枚の写真に収まる映えスポット】
同市には、外国人観光客のSNSでの発信から火が付いた、いわゆる「映えスポット」である「忠霊塔」があります。これは、地元の浅間神社の境内にある施設なのですが、富士山に向かう方角に立つと、春には「富士山、桜、五重塔」という日本の象徴的なイメージが一体となった風景が展開します。訪れた3月11日は快晴かつ温暖な日和で、大月駅から最寄りの下吉田駅まで、富士急行の3両編成の列車は外国人観光客で溢れ、ラッシュ時間帯並みの超満員で、早くもオーバーツーリズムの一端を垣間見ました。
【「映えスポット」への途中の露店。日本語表記がないことがインバウンドの観光客の割合の高さを物語っています。】
【富士山麓電気鉄道の車両 1960年代の京王帝都電鉄の車両(左)と、1980年代の山手線の車両(右)が走る】
投宿先には山中湖村の「グランピング」施設を選びました。富士吉田市からその施設までは路線バスを利用しましたが、バス停の時刻表をみると一日1便のみ! 乗車したのも私たちゼミのメンバーしかいませんでした。ここにも地方の公共交通機関の経営の難しさが表れていました。
【一日1便しかない路線バスの時刻表】
2日目は都留市の山梨県立リニア見学センターを訪問しました。2027年度の東京?名古屋間開業を目指すリニア新幹線の走行実験線に併設された施設で、リニア新幹線を支える超電導技術や実際の時速500キロの実験走行を見学、最先端の鉄道技術に触れました。その一方でこの施設へ向かう路線バスは、私たちの一団以外に途中でお年寄が3人乗降しただけで、その中の古老も「普段は2,3人しか乗っていないので驚いた」とのことでした。
【リニア見学センターへの路線バス。普段は地元の数名の利用客のみ、とのこと。】
【超電導の技術を用いたリニア新幹線の仕組みが、分かりやすく展示されていました。】
【模式的なリニア新幹線の技術での走行体験コーナー】
【時速500キロの実験走行を見学。その通過スピードに圧倒されました。】
今回のゼミ合宿では、大月駅を拠点に富士急行グループの鉄道、バスという地域の公共交通機関を利用しての訪問により、オーバーツーリズムと沿線人口減少下の地域の公共交通維持という、両立の難しい課題に直面する地域事情を体験的に学習する機会となりました。